初めてのプラズマ

電子材料研究室をのぞいてみました。

薄膜太陽電池は、目に見えないほどの薄さの様々な"膜"を積層して製造します。

膜の形成方法にはたくさんの種類がありますが、ここでは"スパッタリング"という方法を用います。

スパッタ装置では、膜を付けたい基板を装置の中にいれてまずは排気して真空にします。

その後にアルゴンという気体を装置に導入して、電圧を加えてアルゴンをプラズマという状態にします。

予め仕込んでおいた原料となる物質("ターゲット"といいます)に、アルゴンプラズマをぶつけます。

するとターゲットからはじき出された原料が、基板に付着して薄い膜ができる、というわけです。

5年生は、今回そのプラズマを発生させ、ガラス基板の上にモリブデン(Mo)をいう金属薄膜を形成することに挑戦しました。

プラズマは、固体、液体、気体につぐ物質の第四番目の状態ともいわれ、宇宙全体の99%はプラズマ状態にあると言われています。

身近なところでは、蛍光灯やネオンなどが点灯しているときがプラズマ状態です。

装置の中を外から覗くと、紫色に光って見えますね。それがアルゴンのプラズマの発光色です。近くでみるととてもきれいな色に見えるんです。

成膜した後のガラス基板はどんな感じになっているでしょうか・・・・・?

 

光沢のあるきれいな鏡面となっていましたね。きちんとMoが成膜されていそうです。

4つの基板のうち一つを大気中で熱処理してみました。熱処理したものだけ色がくすんで白っぽくなりました。

鏡面は光をきれいに反射している状態です。それでは白く見えているのはなぜでしょう・・・?

気になりますね。何がどのように変わっているか・・・そうした疑問をひとつひとつひも解いていく過程で新しい発見がでてくるかもしれません。

 

こんな感じで、5年生の卒業研究にすこしずつエンジンがかかってきました。