H3ロケット打ち上げ成功
H3ロケット打ち上げ成功!
2月17日 種子島からH3ロケット試験機2号が打ち上げ成功しました!
おめでとうございます。
このロケットの燃料監視に3年前に長岡高専から初の研究成果活用企業として起業した会社の製品が活用されました。
昨年度は、第2ロケットが点火しないという失敗で大変残念な結果となりました。
しかし、今回は大成功!感動です!
そして、昨年の12月に燃料監視のために開発し追加納品したシステムも正常に動作していて、
燃料監視に役立ったとの報告もJAXAから頂きました。
開発に関わった学生と共に打ち上げを見守りました。
https://www.nagaoka-ct.ac.jp/76815/
「些細なことでも関われたのは誇らしい」H3ロケット打ち上げ成功!新潟県内の関係者も喜び | 新潟ニュース NST (nsttv.com)
「H3」の燃料保管に技術提供、「気づけば午前3時まで研究」の高専生ら歓喜のハイタッチ : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
さて、今回はどんな開発を行ったかについてせっかくなのでここで紹介させていただければと存じます。
実は、以前納品したシステムには不具合がありました!
どんな不具合を説明する前に、まずカメラの性質上、夜になると真っ暗で倉庫内のメータを読み取ることはできません。
そこで、AMAZONで買った光感知型のコンセントに電球を取り付けて、暗くなったらメータを照らすように設置しました。
しばらく、これで使っていただけていたのですが。。。。
ある時に不可解な現象が発生しました。
突然、AIがメータを読まなくなったのです!!
しかし、その後またメータ値を読めるようになりました。
なぜこんなことが発生したのでしょう。。。
原因を探るため、その時の画像をサーバから取り出していただきました。
解析したところ、なんとも恐怖な映像が・・・
注意)心臓の弱い方は気をつけてご覧ください。。。
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メーターの前に、人の手形が写っているではありませんか!
AIカメラにホラー映像が! 写り込んでしまった!
と思ったのですが、実際はカメラの前に虫が。。。きっと光におびき寄せられてた蜘蛛か何かだと思います。
画像は下のようなかんじでした。
種子島は虫の宝庫なので、管理されていた場所でもどこからとのなく虫が入り込むのでしょう。。。
ライトの前に蜘蛛が巣を作ってしまい、その影が映り込んでしまったようです。
殺虫剤や忌避剤で対処する方法も考えられますが・・・
撮影していないときであってもライトが付きっぱなしというのがやはり根本的な問題であると思います。
そこで、昨年12月にカメラが撮影する数秒間だけライトが点灯するようシステムに改良を加えました。
交流100VをON/OFFする仕掛けをマイコンで制御すればいいだけでしょ? 簡単簡単。
と思って人もいるかもしれません。
まさに「言うが易し、行うは難し」です!
実は、この問題の難しさは昨年度のDCON2023で経験しているのです。
下がその時に苦労した回路です。
DCON2023では、印刷工場で発生する音の異常検知に関するAIの開発を行っていました。
https://denden.nagaoka-ct.ac.jp/node/694
審査員に印刷機の箔押しという工程を紹介するためにミニチュアモデルを製作して展示したのですが、その際に
物体が上下する箔押しという動作を表現するため、ソレノイドという電磁石の機器を使いました。
電気を入れると、ピストンが飛び出し、電気を切るとピストンが引っ込むものです。
AIを開発してるメンバーにとって、マイコンでON/OFFを切り替えてソレノイドを制御するぐらい簡単簡単ということで作ったのですが。。。
実際は、かなり苦労していました。
電気って簡単に切れないんですよ! 下の動画をご覧ください アーク放電の様子です。。
https://www.youtube.com/watch?v=ARLkR1QdObE
https://www.youtube.com/watch?v=9GeXkussHfw
凄いですね。。。
さて、実際には上のyoutubeほどではありませんが、皆さんも経験があるのではないでしょうか? 電子レンジを入れると部屋の明かりが一瞬暗くなったりしませんか?
・・・・電子レンジと部屋の電灯の系統が別々の場合はわからないかもしれません。
実は、電気をつかうとその分電圧が下がります。電圧降下と言います。
特にドライヤーや電気ポットなど起動時の突入電力が高い機器を接続している場合は、同じコンセントに接続している他の機器に流れる電圧は下がってしまいます。
これは瞬間的なものですぐに電力会社から供給される安定した電圧に戻ります。
また、電圧が下がるといってもほんの少しだけで、通常は気が付かないと思います。
さて、最近のマイコンは省電力・効率化を目指すためわずかな動作電流で動いています。
そのため、電灯をつけるつけないのスイッチ制御を行った際に、これがノイズとなり制御動作に誤動作を引き起こす原因になるのです。
マイコンで100VをON/OFFするのが、こんな難しいとは思いませんでした。
スイッチングには
ソリッド・ステート・リレー
というものを使っています。ノイズの発生は理論上ゼロのはずです。
では、なぜ制御動作に誤動作が起きるのかというと、ソレノイドのON/OFFによる電源の電圧降下が原因です。
ソレノイドをON/OFFすると、瞬間的にスパーク的なノイズが発生してGND電位が変化してしまうのです。
そのためGND電位が変化してもそれを吸収できるようにマイコンの電源回りに対策が必要となります。
これが、今回JAXA向けに開発した電灯のON・OFF制御装置への改良にそのまま役立ちました。
AI開発も難しいですが、電気のON/OFFにも実は難しさあるんですね。
世の中で役立つもの、社会実装の奥深さでした。
なんやかんやで、無事JAXAに改良型を納品できました。
そして、無事ロケットも打ち上げ成功。
JAXAの方から、現地の打ち上げ写真を頂きました。
そういった話を、JAXAの人と雑談していると、実は宇宙では地球のようにアースというのが取れないので
同じような問題が発生してそのために、回路あたりの設計は苦労しているという話を聞きました。
そういえば、ヘリコプターや飛行機も帯電するので放電するための装置があると聞いたことがあります。
地球上では、電圧の基準というのがアースということで簡単に取れるのですが
宇宙だとどうやって電圧の基準を作っているんでしょうね。。。気になりますね。